日本特撮の明日 『空想科学ジュブナイル あの空のむこう』上映会&パネルディスカッション 9月1日 10:00〜12:00 パシフィコ横浜 会議センター3F/301室 |
![]() トウマ用ヘルメットとユニホーム
![]() 超時空スカイバード超図鑑と大地ヘルメット
図鑑は本当に良くできてます |
![]() 紙飛行機の作り方も配ったよ |
この作品について、監督からコメントをいただきたいと思います。 | |
島崎監督: | 特撮が好きだということ、特撮映画は'90年代にはゴジラなどで活気があったけれど、
今は少し閉塞感がある。特撮ジャンル感を持ちつつ、外へ向いた物が作りたかった。 小中和哉さんのファンタジーに忠実な作りが好きで、見たら分かるとおもいますが、 ウルトラマンガイアの映画にストレートにインスパイアされちゃった映画になってしまいました。 |
監督はこういう感じでこの映画を製作したということですが、現在の特撮界において彼のような若手が伸びていくには何が必要なのでしょう。 | |
池田さん: | 自主制作としては完成度が高い。 昔、庵野秀明さんがウルトラマンを演じた「帰ってきたウルトラマン(DAICON)」が完成されたとき、どうしても実相寺昭雄さんのコメントが欲しい。コメントを貰って来てくれとお願いされたこと があ る。 「こういうのは作った人だけが楽しいもの。このシーンはセブンのコピー、ここは怪奇のコピー。作っている人は楽しいのは分かるが、なんでコピーするんだろう。僕には分からんなぁ」と言われた。 彼らはショックを受けたが、実相寺さんが言いたかったのは「頑張りなさい」ということ。 (この映画の)出だしのオープニングには力がある。田んぼや虫たち。それはカメラマンや監督の力。でも、スカイバードが出撃するとき、ターンテーブルが回るのに意味があるの? ボンフリーをやりたかっただけでしょ? やりたいことをやっているけど、それは力になってない。 時空間を飛んでるシーンはいい。男の勇気といった、作品が持っていたキーワードが力になり、パロディだったのが映画としての力をつけている。 やりたいことをやってるだけ、やりたいことを全部やって見せるというのは良くないこと。 大地とトウマの別れのシーンを作らなくちゃ。そこを曖昧にしてはいけない。 これを教訓にとり続けるしかない。 子供の頃にだけ見えるもの。小学生の頃にしか感じられない物を描くのは、人間を描くのにとても有効。 こういう子供を使ってのメタフィクションをカードとして持ち続けるのは重要なことですが、それを持ち続けるのはなかなかむずかしい。 |
特撮ファンである矢的さんはこの作品をどう捉えますか | 矢的さん: |
これが超時空決戦だというのはすぐに分かったが、これは逆に新鮮でした。 (ガイアの映画は)ウルトラマンの世界と現実の世界をつなぎ合わせるというのは新たな驚きではあったけれど、少し驚きが足りなかった。 我々にとってウルトラマンは当たり前の存在だから。 今、この会場の前に怪獣が現れ、宇宙人が空から降りてきても、この会場の人は驚かないと思う。(会場大爆笑) テレビの中のことが現実になったという驚きであって、新たな驚きではない。 この映画にはもっとストレートに子供の夢、テレビの中が現実になったというSFの一番美味しいところがある。 この映画には芽がある。コピーはいけない。新しい物を作りましょうというのは簡単だが、作るのは容易くない。 もっとたくさんの人がこういう作品を作って、その裾野が広がるといいと思う。 |
池田さん: | 絵で取れないことがあることを思い知った方がいい。どん欲になった方がいい。絵だけで満足する優れた監督はいないから。 |
矢的さん: | 私は子供あっての仕事をしているのだが、大人は環境の変化にすぐに慣れるけど、子供はずっとなれない。 大人の視点じゃなく、子供の視点で撮っているのが面白いと思う。 |
池田さん: | 子供の視点でものをみると、それだけで非日常空間だよね。 紙飛行機が落ちるのと、お父さんの飛行機が落ちるのとかさなってみえて、落ちるところが見たくないんだ。 残念なのは、もう少し予算があって、トウマ隊員が描けていたら。最初は大地が大きくなったらトウマになるのかと思っていたら違うのね。 トウマ隊員の子供の頃や、なぜ隊員になったかを見てみたかった。 |
島崎監督: | はい、撮りたかったです。 |
映画のみて思ったことは、自分の映画に似ている。内容だけじゃなく一般観客からどのように見られているかも。 特撮・怪獣映画へのオマージュ的作品はその筋のファンからは評価されるが、一般の観客、批評家、プロデューサーからはオリジナリティがないとか、一般映画でやれることを、なぜ自主映画でやるのと言われます。見たい作品を作っているだけ。間違っているとは思いませんでしたが、プロに成るためのプロモーション作品としては大変不利な作品傾向だと客観的に見られる今では思います。 島崎さんがこれからプロとしてやっていきたいならばオマージュ作品として、ファンとして通常の映画と肩を並べて勝負できる島崎カラーの映画を作っていくべきだということです。 今回の作品もそのような目的で作られたのかもしれませんが、この手の作品は特撮や技術が自主制作としてマイナスに作用し、プロの映画とは並べて語ることが出来ません。 僕初の16mmの文芸座の出資をうけて撮った「星空のむこうの国」を作ったとき、特撮を使わないSFを目指しました。NHK少年ドラマシリーズや「ある日どこかで」を手本にして、SF手法を使ったラブストーリーでしたが、文芸座の出資が決まる前、あちこちシナリオを持って行ったとき、映画特撮、SFに対する日本映画界の評価の低さ、警戒心の高さを実感しました。 ファンタジー映画全盛の昨今は状況が違うかもしれません。厳しい道かもしれませんが、だからこそ開拓するべきだと思います。 島崎さんには頑張って欲しい。 |
矢的さんの「ウルトラマンと怪獣が突然現れても、それはテレビの中のことが現実になった驚きで、突然未知なるものが現れた驚きではない」という話にはなるほどと思いました〜
しかし、ひとつ疑問なのだけど、島崎監督は「ボンフリー」を見たことがあるのでしょうか?
■『空想科学ジュブナイル あの空のむこう』の感想 (映画の展開に言及してるので注意)